「表層」だけでなく「戦略」からデザインに取り組んだ、dodaイベントページリニューアルプロジェクト。

転職者一人ひとりに最適なイベントとの出会いを提供する、新たなイベントページへ。

パーソルキャリアが主催する転職イベントやセミナー情報を掲載するdodaのイベントページ。履歴書の書き方や面接の効果的な受け方といった転職ノウハウを学ぶセミナーから、今後のキャリアについて視野を広げることができるセミナー、業界最大級のイベント「転職フェア」など。転職を検討しているさまざまな人に、転職活動に役立つ各種イベント・セミナー情報を提供するイベントページはdodaの主要コンテンツの一つです。

2020年当時、同コンテンツはSEO対策と運用方法、そしてデザインに課題を抱えていました。改修に向けて作業を進める中で見えてきたのは、戦略部分からの抜本的なページ改修の必要性。イベントページの価値をより一層高める改修を目指し、他部署との連携やUXデザインの開発フレームワーク導入など、企画段階からクリエイティブチームがプロジェクトをリードしました。

イベントページが抱えていた課題とコロナ禍。これからのイベントページの在り方を模索。

2018年に全面的なリブランディングを実施したdoda。その際、リニューアルスコープ対象外となったイベントページは、新たに策定されたデザインシステムに則っておらず、デザイン面での課題を抱えていました。また「転職　セミナー」「転職　イベント」といったキーワード検索で上位表示されないというSEO上の課題や、イベントページの運用を変えたいというリクエストも。それらの課題を踏まえて、クリエイティブチーム主導でイベントページのリニューアルプロジェクトが立ち上がりました。しかしプロジェクト始動時は、社会がコロナ禍への対応に試行錯誤していた2020年夏。人材業界に限らず、各種イベントやセミナーの中止・延期が相次ぎ、オフラインからオンラインへの移行を模索するなど大きな転換期を迎えていました。そんな中、課題と向き合い深掘りしていく過程で「表層的なデザインを改修するだけでユーザーのためになるのか」「トップページの抜本的な再構築が必要ではないか」といった本質的な問いがチーム内に生じ、リニューアルプロジェクトの内容を拡充する方向に。ユーザーの転職活動にこれまで以上に貢献できるイベントページを目指して、改修プロジェクトをスタートしました。

UXデザインがリニューアルのポイント。より質の高いアウトプットを目指して数々の工夫を凝らす。

より有益なイベントページとなるためには、ユーザーが求める情報を、的確かつ効率的に伝え、実際のアクションにつなげてもらうことが必要です。しかし「転職」と一言でいっても、すでに活動を始めている人から、まずは周辺の情報を入手したい人まで、ユーザーの“転職熱度”はさまざま。そのため、ユーザーのインサイトをいかに読み解き、それぞれの目的に適うイベント・セミナー情報と的確に結びつけるか、そのUXデザインがリニューアルのポイントでした。そこで、従来の業務進行方法にとらわれることなく改修に取り組めるように工夫をこらしながらプロジェクトを推進していきました。

イベント企画グループと連携しプロジェクトチームを組織

プロジェクトチームはクリエイティブチームのデザイナー1名、フロントエンドエンジニア1名、ユーザー設計等に詳しいコンテンツ企画担当者1名、実際にイベントを企画・実践するイベント企画担当者5名で編成。複数の知見と多角的な視点を持ち寄って意見交換できる体制を整えました。

UXデザインフレームワーク「5段階モデル」の採用

デザイン開発を「戦略」「要件」「構造」「骨格」「表面」の5段階に分けて必要な検討とアウトプットを行い、戦略設計からUIまで一貫性のあるユーザー体験を生む「UXデザイン5段階モデル」をもとにして開発をスタート。特に改修の根幹となる「戦略」「要件」「構造」のフェーズは、関係者全員が集いワークショップを開催。ユーザーニーズの整理・深掘りやコンセプト開発、情報設計といったプロジェクトの根幹部分については、メンバーがそれぞれの立場から意見を交わし、決定していきました。各自がプロジェクトの目的や全体像をしっかり理解した上でアイデアの発散と収束を繰り返し、メンバー全員の合意形成を重ねながら進行していきました。

プロジェクト初期に議論を活性化させる仕込み

ワークショップを行う際には、事前にクリエイティブチームがトップページのデザイン案を用意。具体的な形にして見せることで関係者の目線を合わせ、より深く具体的な議論ができるように配慮しました。また、同時にUXデザイン5段階モデルに則ったワークシート等を作成し、各ワークのゴール・目的・課題等を明文化することで参加者の意識を揃え、議論の深化を促しました。その結果、限られた時間の中で議論を活性化でき、質の高いアウトプットにつなげることができました。

検索軸やアイコンへのこだわり。多目的なユーザーも直感で使えるデザイン

コンテンツ要件や情報設計をデザイン化する際は、“直感的に伝達できること”を重視しました。最大の難点でありこだわったポイントは、検索軸の設定です。まずは転職熱度や転職の悩みの内容によりユーザーをカテゴライズし、セミナー・イベントの種別もその目的と特性によって整理をしていきました。両者を紐づけることで、個々に最適なセミナー・イベントに出会えるように、検索軸を設計していきました。

更新作業は、運用サイドの視点に立ち、既存の仕組みを改善・調整。

頻繁な更新作業が発生するイベントページ。更新はイベント企画担当者が行いますが、今回のデザイン改修では機能の追加やSEO観点からテキストなど情報の追加も多く既存の更新フローをそのまま活用することが難しい状態でした。CMS（コンテンツマネージメントシステム）の知見を多く持つクリエイティブチームがと開発を担当したフロントエンドチームが共同で、イベント企画担当者の要望に寄り添った運用フローを新たに設計。一気通貫で企画と関わり要件を深く理解できていたからこそクリエイティブチームが運用面のサポートをすることができました。

デザイナーがハブとなり、プロジェクトの肝となる戦略部分からリード。

クリエイティブチームからの働きかけで始動した本プロジェクト。制作はもちろんのこと、事前の準備から要件定義までをデザイナーがハブとなってリードしていきました。

リリース後、イベント参加者・登録会員数が増加。検索順位も一位に。

検索表示順位：「転職セミナー」「転職活動　セミナー」など複数のワードで検索表示１位に上昇
※リニューアル前と現時点の比較（2022年9月時点）

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。

執筆：宗像 誠也（White Note Inc. ）
編集：重松 佑（Shhh inc. ）