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はたらく人生に、移住がもたらすアイデンティティの変化とは。グループ活動「森会」第1弾

「新しい ”はたらく” を作っていく自分たちだからこその、グループのあり方をデザインしよう」。サービスデザイン第2グループの探究活動、通称「森会」はそんな思いから生まれました。

NUTIONの中でも、新規事業創出や既存事業における戦略・戦術設計、ユーザー体験設計、PM・PdM業務などに携わるサービスデザイングループ。メンバーはリモートワークを中心に、プロジェクト型ではたらいています。

チームの多様性や自律性が求められるなかで、私たち個人の成長のために何ができるだろうか。個々が持つ興味・関心に基づいた、グループ方針と活動作りがスタートしました。

  • 高橋 靖正 さん

    テクノロジー本部 デザイン推進統括部 戦略デザイン部

    2020年3月にテクノロジー本部エンジニアリング統括部UXデザイン部サービスデザイナーとして入社。 前職は、デジタルマーケティング企業にてプランナー、UXディレクターとして勤務。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)にて、デザイン思考とシステム思考アプローチのイノベーション研究、組織心理学をベースとしたチームパフォーマンスの研究を行う。アカデミックと実践における両輪のアプローチを得意とする。

  • 櫻井 乃梨子 さん

    テクノロジー本部 デザイン推進統括部 戦略デザイン部 ディレクター
    (兼務 新規サービス開発統括部/Business_innovation統括部)

    2021年パーソルキャリア入社。メーカー知財にて知的資産を活かした事業開発に携わる中で、デザイン思考に触れる。3度の育休、海外駐在などでキャリアが途切れながらもデザインベンチャーにてUXデザイナーへキャリアチェンジしフリーランスなどを経て現職。家族や子育てなどのライフイベントにあっても、暮らすとはたらくのバランスを自分らしく実現できるサービス創出を目指す。

  • 林 阿希子 さん

    テクノロジー本部 デザイン推進統括部 戦略デザイン部 リードディレクター
    (兼務 新規サービス開発統括部/Business_innovation統括部)

    認知心理学、UX設計、システム開発と、人間・システム両面の設計に携わり、2022年にサービスデザイナーとしてパーソルキャリアにジョイン。これまで特に視覚障がい者や高齢者向けデザインなど、インクルーシブデザインに従事してきた。当事者を巻き込んだ体験設計を大事にし、様々な価値観や身体性を持つ人々がフェアに共存できる世界を目指している。

  • 飯澤 絹子 さん

    テクノロジー本部 デザイン推進統括部 戦略デザイン部 ディレクター
    (兼務 新規サービス開発統括部サービスインキュベーション部 新規事業創造)

    大学で社会福祉を専攻したことをきっかけに、「人という仕組みにフィットする」をキーワードに活動。福祉施設の児童指導員、クリエイティブディレクター、サービスデザイナーと変遷を辿る。現職では、UX改善、中長期戦略策定のほか、SFプロトタイピング、新規事業開発プログラム運営などに関わる。

  • 中村 佳生 さん

    テクノロジー本部 デザイン推進統括部 戦略デザイン部 ディレクター
    (兼務 新規サービス開発統括部/ダイレクトソーシング事業部 プロダクト統括部)

    大学・大学院でロボットと高齢者のコミュニケーションの研究に従事し、2022年パーソルキャリアにサービスデザイナーとして新卒入社。入社後は、サービスのUX改善施策立案や組織の中長期戦略策定、新規事業創出プログラム設計などのプロジェクトに携わる。

  • 小川 泰明 さん

    テクノロジー本部 デザイン推進統括部 戦略デザイン部 リードディレクター

    大学ではマーケティングを専攻。総合印刷会社、通信事業会社を経て2023年にパーソルキャリアに入社。現在はサービスデザイナーとして、プロダクトの体験設計や機能開発などに携わる。

新しいはたらき方を探究する。サービスデザイナーによる「余白」の活動

一見、実務と関係がないように思えることでも、サービスの本質をつかむヒントになったりするもの。「物事の本質的価値」を問う職種であるサービスデザイナーとして、私たちは「余白」の活動から生まれる多様な視点を大切にしています。

たとえば、NUTIONでこれまで実施してきた「デザイナーのキャリアオーナーシップ探索」や「SFプロトタイピング」などの探索的プロジェクトにも、サービスデザイナーは多く参画してきました。ほかにも、専門性を伸ばすためのメンバー発信によるナレッジシェアや業務標準化などの組織活動も活発で、この森会もそんな「余白」の活動の一つです。

まず私たちは共創をスタンスとするサービスデザイナーらしく、チーム全員でグループバリューを作ることから始めました。Google re:Workが掲載する「イノベーションが生まれる職場環境をつくるための共有ビジョンフレームワーク」を参考に、毎週のグループ定例ミーティングを使って、第2グループの「バリューストーリー」をまとめました。

このバリューストーリーをもとにグループ活動を「森会」と名付け、いよいよ探求活動が始まりました。 

バリューストーリーを表現したイラスト(Illustration by 松屋有紀)

「アイデンティティ」と「行動」の関係から「地方移住×はたらく」の実態を紐解く

「これまでにない “はたらく” を実験するギーク」として、まずはその先駆者たる人たちに出会いたい。そんな思いで、私たちはブレストで出た120個もの活動案の中から、今期の活動を「”地方移住×はたらく” のフィールドリサーチ」に決定。NUTIONの属するテクノロジー本部の合宿支援制度を活用して、ワーケーションを兼ねた現地リサーチに赴くことにしました。

「地方移住」や「はたらく」ことは、個人の所属や社会的役割を規定するもの、つまりアイデンティティに深く関わる事柄であることから、今回のリサーチ対象は「地方移住者のアイデンティティの変化」に設定。アイデンティティが生じる要因を「移住」と「はたらく」、「いる(=所属)」 と「する(=役割)」に分け、それぞれを掛け合わせて定義した4つのアイデンティティ領域をインタビューで深掘りすることにしました。

調査対象とした4つのアイデンティティ領域

もう一つの視点として、地域での「アイデンティティと行動の相関」にも着目しました。たとえば、「くじ引きでリーダーに選ばれ社会的役割を与えられた人は、リーダーらしく行動するようになる」ことがある一方で、「役割を与えられなくても、グループの中で意見をまとめたり指針を示していた人に、後々リーダーとしての自意識が芽生える」こともあるように、アイデンティティと行動は相互に影響を与え合うと言われています。そこで、今回の調査では「アイデンティティの組成が、移住後の行動傾向にどのような影響を与えるか」「移住後の行動傾向が、アイデンティティの組成にどのような影響を与えるか」という2つのリサーチクエスチョンを設定しました。

社内調査を経て、南房総でのフィールドリサーチへ

日本全国フルリモート勤務が可能なNUTIONには地方移住者も多く在籍していることから、フィールドリサーチ前の事前調査として、社内の地方移住者へのインタビューも実施。見えてきたのは、「移住の動機や移住後の地域との関わり合い方が、アイデンティティの変化の仕方に影響を与えていそうだ」ということでした。

本調査であるフィールドリサーチの行き先は、移住コミュニティの存在に興味を惹かれた千葉県南房総市に決定。移住の動機や移住形態(2拠点生活 / Uターンなど)、職種も様々な5名の地方移住者の方々に調査にご協力いただきました。

移住は「山登り」?インタビューから見えてきたこと

移住の動機や移住後の地域との関わりといった、インタビュー対象者の一人ひとり異なるストーリーを「地域へのアイデンティティ」という切り口で捉えると、「地域の中に自らの役割をどう見いだすかによって、地域へのアイデンティティの感じ方に違いが生じる」という仮説が浮かび上がりました。
※以下の内容は、サービスデザイン第2グループの探究活動内で得られた仮説であり、パーソルキャリアとしての見解を示すものではありません

インタビューから、地域へのアイデンティティの変化をモデル化。業務の合間に集まり、議論しながら作りました。

上図は「移住後の地域へのアイデンティティの変化」を示すメンタルモデル曲線で、横軸は移住してからの時間経過、縦軸はアイデンティティの強さを表しています。移住直後は曲線の左下から始まり、役割を通じた地域への関わりによって地域へのアイデンティティが高まっていきます。そのフェーズに応じたそれぞれの状態を以下のように表現しました。

個々のインタビュー対象者のストーリーを振り返ると、アイデンティティの山は「時間経過と共に自然と登っていける」という単純なものでもなく、個人ごとのハードルがあるように見られました。図ではそれを、2つの「壁」として表現しています。

1つ目の壁は、移住後に地域と溶け込むきっかけを探す「探索期」に直面する「介在価値の壁」。その壁を越え、住民と関わりながら地域に溶け込んでいくと、今度は周囲からの期待などから役割が大きくなりオーバーフローしてしまう「やりすぎ期」に入っていきます。そこで2つ目の壁となる「解脱の壁」を超えると、「悟り期」が訪れます。インタビューでは、「地域において自分の弱さも出せるようになったことで、役割を超えた個人として、本当に住人になれた気がした」という事例がありました。ただ、これらの「壁」は個人ごとの移住の背景によって存在しない場合や、すり抜けていく場合もありそうです。

フィールドリサーチを終えて

なぜ人は移住するのか、それが「はたらく」にどう関係するのか。今回のインタビューと、海を見て過ごした「余白」の時間を経て、私たちなりに言語化してみました。

地域には「自らの意思で働きかける余白」がある。仕組みが行き届いた都市において私たちはその利用者に過ぎないが、地域では、自分から人やコミュニティへはたらきかけていく。そのプロセスに、私たちは惹かれるのかもしれない。

移住は、入学や就職・転職などにも似ていて、人づきあいや仕事のスタンスなど人生における優先順位を大きく変えていく。新しい環境を志し適応する過程で自分を再構築する、生き方を変える装置ともいえそうだ。

地域ごとに特有の生活スタイルや価値観があり、1つの地域で1つのスタイルを味わう選択もあれば、ライフステージに合わせて選択したり、自身の変化を期待してプロアクティブに環境を変えていく選択もある。ライフ面においても「はたらく」においても、「今の自分にこの場所がしっくりきているか?」と自分自身に問うことが、人生を前進させるかもしれない。

今回の探索活動で得た感覚を胸に、森会はこれまでにない「はたらく」に向けて、実験を続けていきます。

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。 
※ 本記事内の調査結果は、サービスデザイン第2グループの探究活動内で得られた仮説あり、パーソルキャリアとしての見解を示すものではありません 

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