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リモートワーク中心の中、あえての「社内配布限定デザイン誌」製作裏話

本サイトが冠するNUTIONとして社内外に向けた発信を始める以前から、社内に点在していたデザイン組織ではデザイナーの認知やデザインそのものの啓蒙などをしていこうとする動きがありました。社内向けデザイン誌『CREA(クリエ)』の製作もそのような取り組みの中の一つです。デザイナーという、アウトプットまで出来るメンバーが揃っているからこそ実現した自分たちらしい認知・啓蒙のプロセスをご紹介します。

  • 佐藤 貴明 さん

    カスタマーP&M本部 デザイン部 dodaデザイン第2グループ
    マネジャー

    学生時代に映像制作を学び、卒業後は映像制作会社に就職。その後、Web制作会社に転職し、Webディレクターとして人材系ポータルサイトなどを手がける。自らの手でものづくりをしたいという想いから、はたらきながらデザイン学校に通いデザインスキルを習得。デザイナーとして幅広い顧客のWebサイト構築に携わった後、2017年にパーソルキャリア入社。dodaのUI/UXデザイナーを長らく担当、2022年10月よりtoB向け採用管理ツールのUI/UXデザイナーを務める。2021年、HCD-Net認定 人間中心設計専門家の資格を取得。

発端は「なんか冊子でも作りたいな」というシンプルな思いつきから

社内誌『CREA』の製作に至るまでの経緯と概要を教えてください。

正直に言ってしまえば私が「なんか冊子でも作りたいな」と思ったのがきっかけです(笑)。普段の業務でアウトプットするデザインはWeb領域がほとんどで、かつ私個人の話でいうと最近ではUXデザインやサービスデザインのような動きが多いため純粋にモノとしてのアウトプットをしたいと感じていたんです。かつそこに物理的な手触りがあるとより良いな、と。そのような考えが社内誌という形につながったということになります。

創刊号はミニマムで始め、まず私が所属するP&M本部のデザイナー14名(当時)一人ひとりの紹介を各メンバー1ページずつ設け、そこでスキルセットやこれまでの経歴、パーソルキャリアでの成果物などを載せました。加えて特集記事も3つほどメンバーに協力してもらい製作し、計28ページの冊子となりました。vol.2では冊子という形式も変え、A1サイズの用紙に折加工を施して新聞のようなものにしてみました。創刊号制作後に、CREAの話を聞いた本部長や別組織の部長などからも「P&M本部に閉じずにもっと広げていって欲しい」といったような要望も貰ってしまい(笑)。Vol.2では他本部や他グループのデザイナーへのインタビューや対談などのコンテンツも加えていきました。

個人のwantを組織課題につなげる

業務でありながら業務でないような、部活動のようなワクワク感を感じますね。

おっしゃる通りですね(笑)。とはいえこの社内誌作成は完全に個人の好みや趣味というわけではなく、その時感じていた組織の課題に対する取り組みとしても成立すると考えていました。一つは社内に対する認知と啓蒙、もう一つはデザイナーのグラフィックスキルの底上げです。

まず認知と啓蒙に関しては文字通りなのですが、弊社は企業規模でいえば大企業で、単体で見ても4,500名を超える従業員数です。その内デザイナーの割合は一桁%なので、隅から隅までデザイナーが参画できているという状態では決してありません。そもそもデザイナーが社内に居ることを認知してもらったり、デザイナーは具体的にこういう面で価値発揮できるということを啓蒙したりといったような動きはまだまだ必要で、そういった意味では過渡期と言えますし、UX成熟度モデルで見ても組織ごとにバラつきがあるような状態です。そのため認知・啓蒙の取り組みは持続的に必要だと考えており、かつノンデザイナーの社員でも興味を持ちやすい物理的な冊子という形がフィットしていると感じました。これが例えば「社内サーバーのここに、こんな資料をPDFで用意しておきましたので、よかったら見てください!」だったら、反応は結構違っていたのではないかと思います。

もう一つのグラフィックスキルの底上げに関しては、同じ自社サービスに年単位で関わるインハウスのデザイン組織ではありがちな課題かもしれません。メンバーの多くは中途入社で、過去にプレイヤーとしてバリバリ手を動かしてきた経験を持っている場合が多いのですが、近年では異動や新卒入社で弊社がデザイナーとしてのファーストキャリアというメンバーも所属するようになってきました。そういったメンバーも含めたジュニア層に、グラフィックデザイナーレベルとまでは言えないかもしれませんが、とことん見た目としてのデザインを突き詰める機会を提供したいと考えていました。P&M本部のデザイナーはdodaをはじめとした大規模サイトを中心に携わっているため、ガイドラインでトーン&マナーやコンポーネントなどは予め規定されています。またエモーショナルに訴えるというよりも基本は情報サイトであるため、日頃求められるのはロジカルな設計や全体最適を念頭に置いたUIデザインなどが多いです。それが悪いという話ではありませんが、そういった日々の業務で慣れている思考や制約などを取り除いて、抽象的ではありますが純粋に「良いデザイン」「グッとくるデザイン」というのを追ってもらいたいと考えました。

数日後には在庫切れという嬉しい悲鳴

実際に刷り上がった冊子はどのように配布していったのですか?

社内で使用しているチャットツールの全体チャンネルで宣伝しつつ、冊子自体は勝手にオフィスに設置しました(笑)。

社内に設置された『CREA』と、チャットへの投稿と反応

製作メンバーに渡す分を除くと配布分は50部もいかない程度ではありましたが、設置した3日後にはチャットで「今最後の1部を取ってしまいました…!」と連絡が来ました。これには驚きましたね。念のため手元に数冊予備を置いておいていたためそれも追加したのですが、すぐに無くなってしまいました。リモートワークが中心となり出社しているメンバーも2〜3割程度の最中だったので、ここまで早く無くなってしまうのは予想していませんでした。さらに「クオリティに驚きました!」「改めてプロのデザイナー達と仕事ができていることに感謝」という本当にありがたい言葉を貰うことができました。認知や啓蒙だけでなく、そのような周囲の反応によって製作メンバーのモチベーションアップにもなったのではないでしょうか。

この創刊号への反響があったからこそ、今夏のvol.2の製作にも繋げることができました。vol.2は部数も増やして100部!この記事を書いている今はまだ配布を開始して一週間も経っていない状況ですが、設置したオフィスによってはすでに無くなりかけています。

実は創刊号の序文には「これが最初で最後の幻の創刊号になるかもしれない」と書いてはいたんです。反響次第で二度目はないことも想定していました。それでもこうしてvol.2の製作にまで至れたことは嬉しいですね。

デザイナーだからこその本気の製作。スキルをこえてマインドや姿勢の醸成にも寄与

CREA製作において特に力を入れた部分や大変だったことはありますか?

表紙用の写真撮影は一つアピールポイントかなと思います。使用する画像素材の用意や冊子そのものも、コストを掛けないようにしようと思えばどこまでも低コストでできてしまいます。しかしあえてそこにこだわり、表紙の撮影はスタジオをレンタルして照明も自分たちで組んで撮っています。特にvol.2の表紙撮影はなかなかにハードで(笑)。製作メンバー総動員でどうにか当初のイメージ通りのものを撮り切ることができました。

CREA vol.2の表紙撮影時の様子と、実際に使われた写真

また先述のとおり、創刊号は私が所属するP&M本部の中に閉じた記事内容だったのですが、vol.2では他本部や他グループに所属するメンバーとのコンテンツを載せたりしたことで、NUTIONとして一丸となって行こうとしてる中だからこそのメンバー間同士の横の繋がり創出にも寄与できたのはよかったと思っています。

日々の業務にアドオンで乗ってくるタスクだったため、製作メンバーも大変だったと思います。それでも全員が締め切りまでにはきっちりと提出してくれましたし、自分でイラストを描いてくれるメンバーや紙媒体そのものが初挑戦なのに手を挙げてくれたメンバー、締め切りギリギリまで「もうちょっと直していいですか……!」と食い下がってクオリティを上げようとしてくれるメンバーがいたりと、グラフィックスキルのみならずマインドや姿勢の醸成にとってもいい取り組みだったと感じています。

今後の展望

この反響を受けて、今後『CREA』をどのようにしていきたいか教えてください。

まずは継続的なものとして定着させたいですね。反響があったとは言えまだ2回製作しただけなので、今後も継続していけるようにしたいと考えています。そのためには都度前回を超えるクオリティを出す必要があると思っていて、よりこだわり抜いたデザインにしていきたいです。あとはvol.2で実現したような他本部や他グループも巻き込んで、一部の組織にとどまらないNUTION全体の認知・啓蒙にもつながっていくとすごく理想的だと思っています。今はまだ社内限定の配布となっていますが、社外にも発信できるようになれるかな……?まだまだトライ&エラーでやっているので妄想の範囲を超えませんが、冒頭にも述べたとおり自分たちらしいやり方で引き続き取り組んでいけたらと考えています。

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。

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