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メンバーの意志を具現化したビジュアルコミュニケーションをデザインする。『エンジニアパス』リブランディングプロジェクト

Service :
エンジニアパス
Launch :
December 2023

(プロジェクト概要) Outline

ブランド確立前の新サービスをリブランディング。

新卒や未経験のITエンジニアに対する社内OJTを、オーダーメイドの研修コンテンツと、外部コーチによるオンライン指導によって支援する「エンジニアパス」。ITエンジニアの人材不足という社会課題に対する新たなソリューションとして「企業内でのITエンジニア育成の支援」を提供するサービスです。

そんなエンジニアパスは2023年12月20日の正式リリースを前に、リブランディングを実施。2023年7月から約4ヶ月間をかけて、プロジェクトメンバーが参加するブランドスプリントのワークショップや、サービスオーナーとブランドらしさを突き詰めるための1on1の実施を経て、新しいロゴの制作、ブランドガイドラインの作成を行いました。

ブランドイメージが定まりきっていなかった新サービスに、メンバーの想いを反映しながら形を与えていった今回のプロジェクト。その過程をご紹介します。

(プロジェクトの背景) Background

人と人のコミュニケーションに価値があるサービスだからこそ高まるブランディングの意義。

エンジニアパスでは正式なプロダクトのローンチと合わせてプレスリリースを配信する前に、テスト期間を設けていました。そこでビジネスとして成立する見通しは立ちつつあったものの、ブランディングが後回しになっていたために、暫定的に作成したロゴやトーン&マナーしかなく、メンバー内でもエンジニアパスというブランドに対するイメージはバラバラ。ユーザーとコミュニケーションを図る際の指針がない状態にありました。

エンジニアパスはユーザーとの対面コミュニケーションに価値を置いているサービスです。パーソルキャリアのほかのサービスのように、Webサイトをハブとしてユーザーとつながるものではないからこそ、メンバー内で“エンジニアパスらしさ”とはどのようなものかといった共通のブランドイメージを持っておくことが必須だったのです。

このような課題を感じていたサービスオーナーからデザイナーに相談があり、ロゴの刷新をゴールとしたエンジニアパスのリブランディングプロジェクトがスタートしました。

(プロジェクトのプロセス) Process

8日間のブランドスプリントのワークショップとブランドらしさを突き詰めるための1on1を経てブランドロゴが完成。

リブランディングに向けて、デザイナーはほかのサービスで実施した内容をベースに3日間のワークショップを実施することにしました。参加者は、サービスオーナー、ディレクター、営業、デザイナーの計4名です。デザイナーがファシリテーターを務め、各1時間で議論を深めていきました。

DAY1:

  • エンジニアパスを通じて成し遂げたいことを洗い出す
  • エンジニアパスのSWOT分析

DAY2:

  • ユーザーから見たブランドの姿を洗い出す

DAY3:

  • ありたい姿×企業視点の深掘り
  • ありたい姿×顧客視点の深掘り

DAY1〜3のワークショップで、メンバーがそれぞれの考えを発散したところ、エンジニアパスのブランドイメージが見事にバラバラであったことが判明。デザイナーが議論の内容を集約してMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)に落とし込もうと試みたものの、まだまだ議論の余地があったことから、追加で5日間のワークショップを実施することになりました。

オンラインワークショップを行ったmiroのワークスペース

DAY4:

  • MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定

DAY4は、以下3つの空欄に入る言葉を考えるワークを行いました。

エンジニアパスは(1)のために存在する。
私たちは(2)の実現をするため、(3)という価値をユーザーに提供し続ける

「エンジニアパスがなぜ社会に存在するのか?」「どんな未来を作りたいのか?」「実現して行くために大切にすべき価値観は?」といったサービスの根幹に関わる重要な取り組みであったこともあり、この日の議論は時間内に収束しませんでした。現段階でMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)のように削ぎ落とされた文章として落とし込む以前に、もっとメンバーの意見を多角的に発散させる必要があると判断したデザイナーは、これまでの議論をもとにエンジニアパスがどんな課題に対して、どんなソリューションを提供することで、どんな未来を描きたいのかを、ブランドステートメントとして長文でまとめてみることに。それに対してフィードバックをもらいながら、ブラッシュアップしていこうと考えたのです。

DAY5:

デザイナーが作成したブランドステートメントをもとにフィードバックをしてもらったところ、さまざまな角度から意見が挙がり、次第にエンジニアパスを取り巻く関係者と、彼らがそれぞれ抱えている課題が浮き彫りになってきました。それをデザイナーが図で表したものが、以下の「ステークホルダーマップ」です。

ステークホルダーマップ ラフ案

DAY6:

ステークホルダーマップをもとに、さらに議論を重ねます。「ユーザーにとってのパートナーを目指すのか?それとも相棒になりたいのか。あるいはバディ?もしくは右腕かも……」といったように、細かい表現までは固まりきっていませんでしたが、メンバー間でブランドに対する共通認識を持てるようになってきました。

DAY7:

これまでの議論をもとに、デザイナーが考えたエンジニアパスのキャッチコピー2案のどちらか良いほうに投票したり、これまでの議論を踏まえて更新したブランドステートメントにフィードバックしたりするなど、エンジニアパスらしさが見えてきました。

DAY8:

DAY5で作成したステークホルダーマップが精錬され、「4者のジレンマ」と名付けられました。(「4者のジレンマ」については、次のDetailsで詳しくご紹介します。)また、ブランドステートメントやコミュニケーションイメージのブラッシュアップを行い、ワークショップの最終成果物が完成。

これまでの8日間のワークショップを通じて、最初のうちはサービスオーナーの想いを聞きに行くという受け身のスタンスだった参加者も、回を重ねるごとに「自分の想いもちゃんと入れていきたい」「一緒にブランドをつくっていきたい」と思うようになっていったと言います。

ワークショップの最後には、ブランドパーソナリティを定義するために、12種類のアーキタイプのうち、「どれがエンジニアパスらしいか/らしくないか」を、1人4つずつ投票してもらいました。その結果、エンジニアパスらしさで上位にランクインしたのは「Every Person(普通の人)」「Sage(賢人)」「Care Taker(介護者)」の3つです。

これらのイメージから、「『エンジニアパス』はおとなしくて優しそうなイメージのようだ」と理解したデザイナーは、やわらかい緑とオレンジを基調としたロゴ案を作成して、サービスオーナーに提示しました。すると、サービスオーナーからは「全然イメージと違うかも……」という予想外のフィードバックが来てしまったのです。

サービスオーナーから「全然イメージと違うかも……」というフィードバックが来てNGとなった初期提案ロゴ

1on1実施:

そこで急遽、デザイナーとサービスオーナーで1on1を実施し、エンジニアパスらしさを突き詰めていくことにしました。1on1のなかで出てきた「応援する立場でいたい」というワードを拾い上げたデザイナーは、ロゴの中にメガホンのモチーフを入れることに。以下のロゴを再提案しました。

(プロジェクトの詳細) Details

ワークショップの末に見出した、エンジニアパスが解消する「4者のジレンマ」とは。

「4者のジレンマ」とは、エンジニアパスが解決したい課題とそれを取り巻くステークホルダーの関係性を図にまとめたものです。

「4者のジレンマ」を表したステークホルダーマップ

グレーの四角で囲われた「経営者/CTO」「人事」「現場」「未経験者/微経験者/異動者」の4者が、それぞれどのような課題を抱えているのか、また、それらの課題が相反してジレンマを抱えている状態を表すとともに、そのジレンマの解消のためにエンジニアパスが提供する価値を明示しています。

4者のジレンマ

経営者/CTO

  • 業界の属人化によって事業の継続性に不安を覚える
  • 後継者を入れて継続性を担保したい
  • 人員を増やして事業成長させたい

人事

  • 現場要望と人材市場での板挟みになっている
  • 即戦力人材を採用するのは難しい
  • 高い給与を出さないと人が集まらない
  • すぐ退職してしまう、早期退職

現場

  • 未経験者は育成にコストがかかる
  • 未経験者の育成方法がわからない
  • 業務やスキルアップ研修に追われて、未経験者を育成する時間がない
  • 育成コストが高いのにすぐ退職してしまう早期退職
  • 即戦力人材がほしい

未経験者/微経験者/異動者

  • 知識ややる気があっても現場経験がなければ採用されづらい
  • 職場独自の業務や知識、文化に馴染めず挫折し退職
  • 疑問点や業務での躓きを現場の先輩に質問したいがすごく忙しそうで聞きづらい
  • 未経験者自身の教育に現場の先輩の時間を奪ってしまう申し訳なさ

これらのジレンマの中から、エンジニアパスが注力して取り組むソリューションを以下の2点に定めました。

メインソリューション「ジレンマ解消」

育成支援と並走して4者それぞれの立場に立って対話しジレンマを解消。それを通じて人不足という経営課題を解決

サブソリューション「育成支援」

IT業界へのキャリアチェンジに挑戦する人を現場教育に特化したコーチングでサポートするOJT代行サービス

(実績と効果) Impact

熱量を形にすることで生まれる親しみや愛着。これから育てる「種」としてのブランディング。

パーソルキャリアのエンジニア向けサービスには珍しい赤色を用いたロゴのインパクトにより、認知度向上に貢献。顧客だけでなく、社内でも覚えてもらいやすくなりました。また、サービスの「形」や「温度感」の議論を通じ、プロジェクトメンバー間でのブランドに対する共通認識やコミュニケーションの土壌が作られたことも成果のひとつ。愛着を持ってプロダクトを育て、文化醸成をしていくきっかけとなりました。

(メンバーからのコメント) Voice

ブランドスプリントからのロゴ制作は、慣れないことばかりで胃がキリキリしましたが、最終的には自分だけでは決して辿り着けなかった境地に達することができ、すばらしい経験になったと思います。ブランドロゴは、いわば海賊旗のシンボルマークのようなもの。メンバー自身が気に入って初めて、ブランドがチームの文化として醸成されていくフェーズに入ります。今回、ブランドという無形のものにロゴという形を与えることができたので、これからもメンバーやユーザーのみなさんが愛着をもって育てていただけたらうれしいです。

クライアントP&M本部 プロダクト統括部 クライアントサービスデザイン部 デザイン第1グループ サブマネージャー

松森 裕真 さん

初めてブランドスプリントに参加して、シンプルに楽しかったです。メンバーの想いがこんなふうに形になるものなのかと感動しましたし、ロゴの制作過程を語れる自分が誇らしいですね。これだけみんなで作り上げたものなので、ちゃんとサービスの価値を市場で証明していかなければと、改めて気が引き締まりました。

新規サービス開発本部 新規サービス開発統括部 サービスシード部 エンジニアパスグループ ディレクター/プロデューサー

三宅 凌 さん

(クレジット情報) Credit

Manager
中矢 恭史
Sales
大野 嵩護
Marketer&Sales
三宅 凌
Designer
松森 裕真

(プロジェクト情報) Information

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。

執筆:野本 纏花
編集:重松 佑(Shhh inc. )

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