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職能もあり方も、柔軟にアップデートする。
AIの進化で拓かれていく、デザイナーの可能性

AIの台頭により、今、デザイナーのあり方は大きな変化を迎えています。NUTIONでも積極的に活用されているAIですが、デザイナーの業務においてどのように活かしているのか。また新たな技術の登場に対しどのような想いを抱いたのか、デザイナーだからこそ果たせる役割とは。

今回は、法人向けプロダクトに携わるデザイナー林さん、篠崎さん、松森さんに、AIに対する考え方や活用法などについて、それぞれの視点から話を聞きました。

  • 林 梨絵 さん

    テクノロジー統括 クライアントプロダクトデザイン部 デザイン第1グループ

    2023年にパーソルキャリアへ入社。doda CONNECTのデザインを担当。過去にはエンジニアや海外勤務の経験があり、多様なバックグラウンドを活かしながら、学び続ける姿勢を大切にしている。現在はAI技術の活用に注力し、新しい価値の創出に挑戦している。

  • 篠崎 真由美 さん

    テクノロジー統括 クライアントプロダクトデザイン部 デザイン第1グループ

    2022年にパーソルキャリアへ入社。現在は、doda CONNECTにおいて新規開発領域のUIUXデザインを担当。また、OOUIなどオブジェクト指向を軸とした情報設計の推進や、生成AIを活用した次世代の制作手法を探求。新しいデザインアプローチの確立を目指している。

  • 松森 裕真 さん

    テクノロジー統括 クライアントプロダクトデザイン部 デザイン第1グループ

    受託制作会社数社を経て、2020年にパーソルキャリアへ入社。現在は、法人向け中途採用支援システムdoda CONNECT内のサービス、doda 企業PRの立ち上げや、doda 人事ジャーナルのグロースにおけるUI/UXデザインを担当している。あわせてdoda CONNECT全体の価値向上に向けた、横断的な施策の推進にも携わっている。

業務における、それぞれの生成AI活用事例

左から、篠崎 真由美さん、松森 裕真さん、林 梨絵さん

まずは、みなさんが生成AIをどのように活用しているのか教えてください。

林:

私は、生成AIの方が自分よりもいいアウトプットを出してくれると期待できる部分には、迷わず使っています。
例えば、デザイン制作初期段階での、キャッチコピーやデザインのアイデア出し。また制作途中では、デザインの壁打ち相手になってもらったり、レビューをもらったりします。あらかじめデザインのコンセンプトや制作目的、訴求したい点などを伝えておくことと、初稿を社内に展開する前に自分で全体を見直すことで、アウトプットの精度を担保しています。

松森:

僕は最近「AIを用いた思考プロセスの整理」を実験的に取り組んでいます。
時々、「部署で掲げているミッションやビジョンをビジュアル化してほしい」といった依頼があります。目的や伝えたいことは既に決まっていても、それをどのようなビジュアルに落とし込めば各メンバーに感覚的に伝えられるかは、デザイナーが見つけなくてはなりません。

こういったビジュアルコンセプトを策定するフェーズでは、限られた時間の中で、いかに良いアイデアを思いつけるか、そもそも引き出しをどれだけ持っているかの勝負になります。

そのため、再現性の低いプロセスになってしまうため、不安を感じながら取り組むことが多々あったんです。また、瞬発的なアイデアや個人の引き出しの量に依存することで、安定した品質の担保を保証できなくなる恐れがあるのではと危機感も感じていました。

そこで、感覚的にやっていることも多かったビジュアルコンセプトづくりを、AIの力を借りて整理・言語化を行い、再現性の高いプロセスづくりにトライしています。
局所的なアイディエーションから、俯瞰して様々な可能性を探索した上で、ベストなアイデアを選択できるようになりました。

篠崎:

私は、ビジュアル化に入る前の体験設計を考える際に活用しています。
例えば、ユーザーが何を求めているかを知るためのインタビューを行うとして、どんな質問項目が必要で、どう進行すればいいかを生成AIに設計してもらいます。「30分で実施する場合のタイムラインの叩き台」を作ってもらい、「この質問はこういう聞き方がいい」「ターゲットの課題はこれだからこの質問もしよう」などさらにブラッシュアップしていく形です。

デザインの上流工程に、生成AIが到達した日

みなさん、現在、生成AIを活用していますが、世の中に普及し始めたときの気持ちはどうでしたか?「AIが人間の仕事を奪う」とも言われる中で、危機感や不安もあったのでしょうか。

林:

私は危機感や不安は全く感じていませんでしたね。新しいものが好きで便利なものはどんどん試したい派だったので。テクノロジーの進化でデザインの可能性が広がることにワクワクしていましたし、「これを使わない手はない!」とポジティブに捉えていました。お二人はいかがですか?

松森:

僕は、最初はかなりネガティブでした。「こんなすごい絵が生成AIで描けた」というのを見るたび、手を動かして作るデザインの一番楽しいところを奪われてしまうのが嫌だなと思って。篠崎さんはどうでしたか?

篠崎:

私もポジティブとネガティブの割合でいうと、3:7くらいでネガティブが強かったです。
法整備が議論の最中で生成物の扱いを測りかねていましたし、UIデザインにおいてもAIは制作プロセスが見えないブラックボックス。自分の意図がきちんと伝わったのかは生成してみるまで分からない「ガチャを回す」状態でした。

正直、デザインを作るのは人間でもAIでもどちらでもいいというスタンスです。ただ、MCP(※1)の登場で自分の意図を一定反映できる筋道が見え、ブラックボックスが解消された。その時、これはデザインフローのあり方が根本から変わると直感しました。

本来、UIデザインはフォントや余白といった厳密な「デザインルール」の積み上げで構築されます。これまでの生成AIは、その都度ルールを指示しても適用にバラつきがある断片的なアウトプットに留まり、継続的な一貫性を保てませんでした。
外部のルールをAIが動的に読み込み、文脈として保持できるようになったことで、一度定義したシステムを前提とした高度なデザインの出力が可能になったんです。

これを機に、仕事がAIに置き換わるのを恐れるより自らフローを編み出そうと思い、どんなものか使ってみることにしました。

1)AIと外部データベースなどをシームレスにつなぐための規格。これにより、デザインなどを生成する際にルールを指定しておくと、その方針に沿ったものが作られるようになった。 

AIが、自分ならではの仕事を見つめるきっかけに

松森さんは、ネガティブだったところから活用してみようというマインドに切り替わったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

松森:

当時、篠崎さんと「AIを恐れるより、使いこなして自分ならではの価値を出したい。だからMCPも積極的にキャッチアップしているんだ」という話をしましたよね。

篠崎:

話しましたね。

松森:

それを聞き自分も火がついて、触ってみるようになりました。ちょうど所属部署でAIエージェントをどんどん作っていこうという話も上がっていた時期で、それってなんだろうと調べ始めてみると、なかなか面白いじゃんと気付いて。そこから、先ほど話した思考プロセスの言語化を行ってみる中で、的確な指示を出せば、それを理解して生成してくれるようになってきて、すごさを実感し、前向きになっていきました。

林さんは一貫してポジティブに捉えていましたか?

林:

そうですね。実際に使ってみると、自分が苦手とする領域や時間がかかっていた作業を生成AIが驚くほど補ってくれる手応えを感じ、さらに積極的に活用していこうというマインドになりました。

生成AIを活用したことで変化した時間の使い方や、新たにできるようになったことはありますか?

林:

まずユーザーについて考えることに、より時間をかけられるようになりました。分析も細かくしてくれるので、ユーザー理解の精度も上がったと感じます。また、ディレクター的な視点でデザインを俯瞰できるようになりました。

前まではUIデザインなどをきれいに作ることに時間をかけていたけど、要件やゴールなどを生成AIで整理するところからはじめ、全体を見ながら作れるようになったと感じます。

篠崎:

私は、以前ならやり方がわからず着手することすら諦めていたことを、迷わず取り組めるようになりました。ヒントがすぐ出てくるのでやってみようという判断がすぐに行えるようになりました。
もともと、失敗することより、そもそもチャレンジできないのが嫌なタイプでした。でも、途中で頓挫したり進まなくなることが減り、きちんと何かしら形にするところまではたどり着けるようになったのはうれしいですね。

松森:

例えば自分がディレクターなどの立場で、作業者が別にいる場合。依頼内容に沿って動いてもらえるようにするために、どういうふうに伝えるのがいいかを考えます。

そのときに、わかりやすい伝え方になっていたかどうかって、実際に相手に伝えてみて、そこでの反応を見てから判断するしかなかった。でも生成AIだと、とりあえず試しにぶつけてみて、そこで伝え方が良かったか悪かったのか、客観性が得られます。そういう意味で不要なコミュニケーションを事前に防げるようになったと思います。

AIを活用し恩恵やメリットも見いだしてきた中で、それでも人間のデザイナーが担うべき役割はどんなことでしょう?

林:

生成AIが発散してくれた多くの選択肢の中から、サービスの思想や文脈を汲み取ってどれが正解かを判断する「決める責任」こそが、人間のデザイナーの役割だと思います。
今後、もしかしたら「選ぶ」ところは生成AIでもある程度できるようになってくるかもしれません。でも、案件の依頼背景やその前後でどんなストーリーや経緯があったのかなどを踏まえての最終判断は、人間じゃないとできないところだと考えています。

篠崎:

林さんの言うように、成果物のクオリティの良し悪しや、最終的に納品して問題ないかを決める責任は、人間がやるべきことだと思います。AIもそれらしい意見を言ってくれますけど、責任までは取れないですから。

松森:

僕も二人の話に同感です。かつ、AIって「何も知らない賢い第三者」でもあるなと思っていて「この人に伝わる表現にするには」「この人にどんな依頼をすれば高いパフォーマンスで稼動してくれるか」といった観点で問いを投げれば、あらゆる知識を踏まえた上で議論や制作のスタート地点となる叩き台は用意してくれる。そこから仕上げていくのは、やはり人間のデザイナーに求められることなのかなと思っています。

積極的なメンバーの発信により、前向きな空気へ

「向き合ってみよう」という姿勢をみなさん共通して持っていますよね。

篠崎:

そうですね、林さんが言っていたように新しい技術が出てきたことに対して「何ができるんだろう」という好奇心はあったので。

松森:

とてもわかります。それに、もともと組織の中に、AIに限らず得た知識や知見をみんなで共有しあう文化があったことも大きいと感じます。

林:

ナレッジシェア会という情報発信を行う場がありますが、AIについても活発に共有されていましたもんね。

松森さんの生成AI活用シェアの資料

篠崎:

手探りながらもみんなで活用方法を見つけて、それを社内に蓄積していきましたよね。林さんを始めみんな聞けば気軽に教えてくれるし、もったいぶらずに共有してくれました。

林:

私自身、AIの活用は社内でも比較的早い方だったと思いますが、ほかにも早くから活用するメンバーがいました。そのメンバーたちを中心に「この作業がこれだけ楽になった」「苦手な部分をこう補えた」といった実感をオープンに共有していってくれたことで、活用する雰囲気がどんどん広がっていった気がします。

篠崎:

また、組織が挑戦を歓迎してくれるので、もっと生成AIを試せる環境がほしい!と相談すれば、導入に向けてセキュリティ面の整備などスピーディに進めてくれたのは心強いサポートでした。

松森:

みんなが気軽に触って試行錯誤できる土台を早々に作れていたのは大きな後押しになっていましたよね。

生成AIを用いた高速プロトタイピングの活動資料

技術と共創し、理想のアウトプットを叶えていく

最後に、今後さらに新たな技術やツールが出てくる可能性がある中で、デザイナーとしてどんなスタンスでありたいですか?

篠崎:

どんなツールを使っても変わらない『デザインの基礎体力』を磨き続けていたいです。新しい技術にもまずは恐れず挑戦し、うまく乗りこなしつつも、依存しすぎるのではなく自分の核となるスキルも大切にする。その両面を自在に行き来できるのが理想ですね。

林:

日々新しいものが出てくるので後れを取らないようキャッチアップすること。そして自分のスキルやそれまでのやり方に固執せず、新しい技術を「自分を拡張してくれるツール」として軽やかに受け入れる姿勢も大切だと思います。

新たな道具を味方につけつつ、デザイナーの役割である良い体験づくりを行うために高いクオリティのアウトプットを生み出すという目標はブレずに持っておきたいです。

松森:

そうですね。林さんが言うようにデザイナーは理想を形にする職業なので、理想と目的を明確に持っておくようにすることでしょうか。AIだろうが新たなツールだろうが、まずは飛びついて試してみる。そして思い描くゴールに向けて活用していけばいいのかなって。

これまでは少し身構えていた部分もありましたが、『何を作りたいか』という目的さえブレなければ、AIは最高のパートナーになる。理想を形にするために、手段はこだわらず、柔軟でありたいと思っています。また、今後も新たな技術が出てきた時にも、AIに自分の仕事が代替されてしまう可能性がつきまとうかもしれませんが、使われる側にならないために自分ができることは何か、思考を止めずに考え続けていきたいです。

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。

執筆:星野 正太(White note Inc)
撮影:中杉 寛子 

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