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デザイナーのキャリア形成と、活躍を促す組織デザインを考える。トークイベント参加レポート

「デザイナーのキャリアオーナーシップ探索プロジェクト」の第一弾レポートが公開されたことを記念し、パーソルキャリア株式会社とプロジェクトパートナーである株式会社ロフトワークの共催で、トークイベントを開催しました。

「〇〇デザイナー」といったデザイン対象(グラフィック・デジタルデザインなど)ごとに語られてきたデザイナーのキャリア。枠に閉じず、活躍するフィールドを拡大し、やりたい仕事を手に入れる、そんなキャリア形成をするには?第一弾レポートと合わせてご覧ください。(記事末尾にダウンロードリンクがあります)

Program-1 : 「デザイナーのキャリアオーナーシップ」を後押しするために出来ること

  • 登壇者:
  • 西本 泰司(パーソルキャリア株式会社 デザイン推進統括部 新規サービスデザイン部 ゼネラルマネジャー)

まずは、パーソルキャリア内のデザイン組織(俗称:NUTION)を立ち上げ、デザイン組織としての中長期ビジョン策定をリードする西本が登壇。デザイナーのキャリアオーナーシップ探索プロジェクトの背景について紹介しました。

パーソルキャリア株式会社 西本 泰司(以下、西本):

パーソルキャリアは「キャリアオーナーシップ」の実現の後押しを使命としています。「キャリアオーナーシップ」とは、キャリア=仕事という意味だけではなく、私なりの解釈では「はたらく」が「生活」の中に包含された、「自分らしく生きる」と言ったような意味合いです。なので、NUTION も「デザイナーのキャリアオーナーシップの後押し」が使命となります。そのために、まずはデザイナーらしく、高度デザイン人材のキャリアを定性的にインタビューし、それらをレポートとして発信することで、デザイナーやデザイン組織開発に携わる方々の一助になれば、という思いからこの調査プロジェクトを始めました。

西本:

NUTIONは、新規サービス創出、サービス改善、採用ブランディングに関わるデザイナーたちが、組織横断的に集まっています。私たちがこれから3〜5年で目指していく方向性と、それに向かう取り組みを一つのコンパスにすることで、それぞれの取組みが、同時多発的に360度関連し合いながらデザイン組織として成長していければと考えています。

組織を横断したメンバーが、中長期的な視野で同じ方向性を見て活動できるようコンパス(羅針盤)を策定した。

西本:

また、今回のデザイナーのキャリアオーナーシップレポートは、対外的にNUTIONの存在を知ってもらうためだけのものではなく、NUTIONのデザイナー育成にもツールとして使っていく想定です。そして長期的には、自社でうまくいった事例を他社の方にもナレッジ共有し、ゆくゆくはデザイン経営を後押しするコミュニティまで育てて行ければいいな、と妄想しています。

Program-2 : 自身のキャリアに影響した「意思決定」を振り返る

  • 登壇者:
  • 小玉 千陽(株式会社ium/株式会社THE GUILD STUDIO) 
  • 新山 直広( TSUGI llc. 代表) 
  • 荒井 康豪(パーソルキャリア株式会社)

第一弾レポートでは、8名へのディープインタビューを行いました。そこで彼らに共通したのが、予め計画した目標やステップに沿ってキャリアが形成されたのではなく、自らが体験した点と点を自覚的につなぎ合わせることで、ユニークなキャリアを醸成してきたことでした。

Program-2では、レポートで紹介されている「キャリアの転換点となる100のエピソード」の中から、登壇者の方々が特に共感できるエピソードを5つ選んでもらい、ディスカッションが行われました。このように、自分でもレポートからいくつかのエピソードを選んで、「どうしてそれが共感できるのか?」を考えてみるのは、キャリアの振り返りにおすすめの使い方です。

ここでは、どう自分の経験を客観的に振り返り、キャリアの意思決定に活かしてきたか、について登壇者それぞれの視点を抜粋します。(登壇者の発言内容や順序は、読みやすさを優先して編集しています)

TSUGI代表 新山さん:

僕の場合は一年に一回くらいは振り返っていると思います。いま自分はどこにいるのか?一番最初にやりたかったことと、自分が今やっていることにズレはないか?ズレている場合は、どうしてズレているのか?ズレていても、それも楽しもうと思えているか?など、を定期的に振り返っています。自分の物語はある日突然に出来るものではないので、振り返ることで、その連続性に気づけるようになります。また僕は関西出身なので、お笑い芸人をメタファーにして(笑)、自分の強みを活かすにはどの芸人のように戦った方がいいのか?を考えることで、客観的に自分の活かし方を捉えたりもします。

株式会社ium/株式会社THE GUILD STUDIO 小玉さん:

一緒に働くスタッフに対しては、雑談の中でも、どういうきっかけでデザインが好きになったのか、幼少期に何に興味をもっていたのか、などを気軽に聞くようにしています。今回レポートのためのインタビューを受けたことで自分も意識していなかったキャリアの価値観に気づけたように、人と対話することが自分のキャリアを振り返ることにとても役に立つと感じています。また、デザイナーはひとりひとりの人格や良さを強みにしていける職業だと思います。だからこそ、自分の作ったものを見て、強みや良さを理解して、「次はどのようなものを作ろう?」と決めてきました。

パーソルキャリア株式会社 荒井:

越境という言葉がありますが、まずは飛び込んで環境を変えることが、前の環境にいた自分を振り返ることになるのではないでしょうか。最初からこれまでのキャリアと、新しい環境での自分がすぐに線で繋がることは期待せず、まず飛び込むこと。また、自分は長い間グラフィック業界でデザインを追求し続けてきましたが、実は同じもの(スキルやアウトプット)を新しい領域に持っていくと、全く同じものなのに「跳ねる」ことがあります。そういった機会にどんどん挑戦していくことで、自分のキャリア形成にも意識的に向き合えると思っています。

Program-3 : マネジメントの立場から、デザイン人材が活躍できる「環境づくり」

  • 登壇者:
  • 伊藤 セルジオ 大輔(株式会社マネーフォワード)
  • 二宮 仁美(PPIH 取締役 兼 執行役員 デザイン統括責任者)
  • 西本 泰司(パーソルキャリア株式会社)

第二弾レポート(2022年12月末公開予定)のテーマは、デザイン人材を育む「外的要因」について。Program-3 では、インハウスのデザイン組織のマネジメントを登壇者にお呼びし、その外的要因(環境要因)として定義している下記の3つを軸にディスカッションを行いました。

  • 完成したアウトプットへの評価
  • 同じ価値観をもつ仲間
  • マーケットとソーシャルイシューへの接続

ここでは、「どう経営層やノンデザイナーに対して、デザインに対する理解を高められるか?」のディスカッションの一部を紹介します。(登壇者の発言内容や順序は、読みやすさを優先して編集しています)

株式会社マネーフォワード CDO セルジオさん:

ビジネスとデザインの対立構造が生まれることは本当によくないので、デザイン組織を育てるためにも、企業全体にデザインを「溶け込ませる」意識を持っています。ノンデザイナーの方は、固定概念的なデザインのイメージを持っている方もいるので、あまり「デザイン」と言いすぎないことも大切です。私たちマネーフォワードの場合は(行動指針として)「User Focus」があり、デザインを最大限に良くしていこうではなく、User Focusを最大化していくためのものがデザイン、という順序です。ノンデザイナー向けのプログラムもやっていますが「デザインスクール」ではなく、「ユーザーフォーカス・スクール」と呼んでます。また、相手の仕事に近いところのデザインをすることも有効です。ビジネス職の方のプレゼン資料フォーマットをデザインしてみるなど、わかりやすく役に立つデザインにまず取り組むアプローチもいいと思います。

PPIH 二宮さん:

私も以前は上司が営業の方で理解してもらうのには時間がかかりました。その中で学んだのは、相手の言葉で話す、ということ。営業の方々が独特のワードを使うと理解が難しいように、こちらもデザインの難解な言葉を最初から使ってもわかりあえない。まずは相手の世界に入っていって、平易な言葉でデザインについて説明し、信頼をおいてもらうことで、段階的にこちらの話しも聞いてもらいやすくなると思います。

パーソルキャリア株式会社 西本:

ノンデザイナーの方はデザインについてわからないだけなので、まずは知ってもらう努力をすること。「デザインって重要なんです」と言うのは簡単だけど、僕は人は見たものしか信じないと思うタイプなので、相手に近づき、その人に実際に役に立つことを実行します。それで「いつもと違うぞ、デザインを使うとうまくいくかもしれない」、と体感してもらう活動を地道に続けていく姿勢が大事だと思います。

第二弾レポートは2022年12月末公開予定

第二弾レポートは「やりたい仕事で生きていくために 地域 × デザイナーから読み解く、デザインすべき外的要因」になります。4 つの地域における「高度デザイン人材を取り巻く外的要因」に焦点を当て、現地でのインタビュー及び環境への調査から得られたインサイトを導きました。公開時にはNUTION Facebookページでお知らせしますので、ぜひフォローください。

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。

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