はたらく未来図構想統括部 PERSOL_MIRAIZ部 MIRAIZ戦略デザイングループ サブマネジャー
氏家 浩史 さん
氏家 浩史
はたらく未来図構想統括部 PERSOL_MIRAIZ部 MIRAIZ戦略デザイングループ サブマネジャー
大学卒業後、Web制作会社に入社。クリエイティブディレクター/プロジェクトマネジャーとして数多くのクリエイティブを手掛け、経験を積んだのち28歳で退職。その後、渡米して音楽・旅・アート・映画など自身の好きなアメリカンカルチャーにひたる一年間を過ごす。帰国後はデジタルデザインを得意とする制作会社でUXデザイン、ブランディングなどの仕事に携わったのち2022年パーソルキャリアへ。教育サービス「PERSOL MIRAIZ」で事業戦略、組織編成など事業の中核を担う多忙な日々を送りながら、移住先の北海道で趣味の釣りを満喫する日々を送っている。
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(01)
(働き方のスタイル)
デザイン会社から事業会社への転身。事業という“正解のないデザイン”に向き合う。
氏家:
サービスをご利用くださる皆さまの市場価値向上やキャリアアップにつながる学びを提供する「PERSOL MIRAIZ(以下、MIRAIZ)」という教育事業を担当しています。MIRAIZは、一言でいえば社会人向けリスキリングサービスで、ラーニング・キャリア・マーケティング・プロダクトという4つのチームで構成されています。そのなかで僕はラーニングチームの事業責任者を務めていて、実践型クラスやキャリア相談などの「学びの場」の企画・運営をリードしています。そのほか、事業戦略の立案やサービス独自のビジョン・ミッション・バリューの策定、組織づくりやメンバーのマネジメントなどの業務を行っています。
実践型クラスとは?
氏家:
たとえば広告制作やSNSマーケティングなど、ビジネス・キャリアにまつわるさまざまなクラスを試験的に開講してきました。クラスの講師は各分野の第一線で結果を出している方ばかりで、講師自身がキャリアの中でつかんだスキルや経験、つまり「第一線のプロのそれぞれの“正解”」を本人から直接学ぶことができます。そのため実効性が高く、受講者が成長と成果を実感できる内容になっています。他社のキャリア講座にない濃い学びは受講者からの満足度も高いのですが、今の「学び」を重視する形になったのは、実は紆余曲折の末のこと。MIRAIZは新規事業として数年前に立ち上がったものの、何度も方向転換や頓挫の危機があった事業で、今ようやく「学び」を軸に芽が出始めたところです。
受講者から転職成功者が出たこともあって、パーソルキャリアの全社総会で経営層がMIRAIZについて言及したり、他部書からの異動希望の申し込みが複数件あったりと社内でも徐々に注目されてきていて、ここからどう事業を成長させるか、次の正念場に入った感じです。
ここから事業成長のフェーズに入るんですね。以前は制作会社等にいたと聞きましたが、どうして事業会社に?
氏家:
1社目ではWebディレクターやプロジェクトマネジャー、クリエイティブディレクターを、2社目ではUXデザインおよびブランディングなどを手がけてきました。
パーソルキャリアへの入社は、制作会社時代の上司からの誘いがきっかけでした。転職活動を始めた時は、自分の関心領域である旅行や移住、ライフスタイル系の会社への転職を考えていたんです。パーソルキャリアについてはほぼ何も知らなかったのですが、調べていくなかで「良いミッションを掲げている会社だな」と思いました。僕はそもそも企業のミッションやビジョンをそう重視していないし、仕事より楽しいことは山ほどあると考えている人間です。でも、「はたらく」は誰にとっても避けられないもので、それをポジティブなものに転換しようと努める姿勢には共感しました。リファラル採用でていねいにスキルをチェックしたうえで条件面・環境面でも僕をきちんと評価してくれましたし、面接で会った人たちが素敵な人ばかりだったことも後押しになりましたね。
制作会社と事業会社の違いはどんな点にありますか?
氏家:
いちばんはデザイン対象が広くて制限がないことですよね。制作会社は基本的に受託で、クライアントが提示する課題や目的、要件・予算等を起点に考えていくわけですけど、課題発見から立案、ヒト・コト・モノの采配まですべて自分たちで考えて実行するのが事業会社。事業戦略やチームマネジメントといった形のないデザインが多いのも特徴ですね。
事業のゴールはある意味で終わりがないから、納品日など明確なゴールがある制作会社と比べると短距離走とトライアスロンくらいの違いがあります。制作会社のデザイナーがしっかり整備されたトラックで速さを競うスプリンターだとすれば、事業会社のデザイナーは道なき道を自分の手で切り拓く、ジャングル横断の競技者みたいなところがありますね(笑)。
自分なりの誇りを大事に。楽しく、面白く物事に取り組み続ける。
どんな点にやりがいを感じていますか?
氏家:
自分としても関心が高い「学び」の事業に携わることができ、そして少し成果が出始めていることですかね。たとえばSNSマーケティングのクラスでフォロワー数を数千人以上に伸ばす受講者が多数出たり、人生が変わったとまで言ってくれる人もいたり、具体的に転職に成功する人も出てきたり。受講者も運営メンバーも喜んでいて、その姿を見られるのがシンプルにうれしいです。新規事業の道なき道でしたから、自分自身も学びながら模索してきたので、やってきたことは間違いじゃなかったんだなって。とはいえ、MIRAIZはスタートラインにようやくなんとか立てたような状態です。ここから勢いよく走り出す準備を粛々と続けなくてはと思っています。
仕事をする上で大事にしていることは?
氏家:
「楽しく、面白く物事に取り組むこと」「自分なりの誇りを大事にすること」。人生には仕事より面白いものがたくさんあって、僕の場合は釣り、音楽、映画、旅などで人生を満たせたら最高ですけど、やっぱり仕事は避けては通れない。だから面白くするひと工夫が大事で、逆にその姿勢があればどんな業務も楽しくできると思うんですよね。
少しでも社会や誰かのためにならないとデザインする意味がないなと思っているんですが、「これだ!」と強い意志があるというより、どちらかというと「これじゃない」に敏感で指針にしている気がしますね。たとえば、世の中にはコンプレックスや不安を煽る広告も多いですけど、「自分は不安を煽ることに参加したくない」からそれはやらないと決める、みたいに。「これじゃない」をどんどん省いて、残ったものは“自分の暫定の正解”という手触りがあるので。暫定の正解と思える仕事に携わること、自分の手で暫定の正解を形づくっていくことが、僕には大事なんだと思います。
自身のコアスキルはなんだと考えていますか?
氏家:
ディレクション、マネジメント、デザイン、ファシリテーション、事業戦略……今まで仕事を通して様々なスキルを培い駆使してきましたが、個々のスキルってそんなに重要だとは実は思っていないんです。「筋道を立てて、当たり前に物事に取り組む」というすごく単純なことをきちんとやりぬくことが大事で、人に話を聞いたり、調べたり、まとめてより良いものを定められた要件で作ったり。そんな当たり前の繰り返しが自分にとっての仕事で、それがきちんとできさえすれば、どんな会社・どんな仕事にも応用できる自分のコアになるんじゃないでしょうか。
そのためには自分の視点に閉じこもらないこと、つまり他者への想像力と柔軟性をもつことが大事だと思うんですね。物事を始める前に頭を思いっきりはたらかせて、ゴールまでの最善のプロセスを構築して走り出す。だけど、途中で出てくるいろんな変数に臨機応変に対応しながら、その都度ベストな新しい道を探っていく。既成の枠や型を上手に崩しながらより良いものをめざす人が結果的に素晴らしい仕事をするのは、これまでたくさん見てきましたから、自分も意識していますね。
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(02)
(生き方のスタイル)
釣りがしたい、だから北海道へ。自分の手で“自分らしい人生”を作る手触り感が好き。
北海道にはパーソルキャリア入社決定後に移住したんですよね。
氏家:
前職までも仕事には不満がなく、むしろ誇りを感じていました。だけど、ふと「自分らしい人生を生きているといえるか?」と考えたんですね。仕事やデザインを通して人のために時間を多く割いている一方で、自分のための時間が疎かだったと気づき、もっと人生を大事にできる職場・環境を得たいと思うようになりました。パーソルキャリアはフルリモートOKだから、だったら移住しようと決めました。
北海道を選んだのは恵まれた釣り環境があるから。コロナ禍で始めた渓流釣りに人生で一番ハマっているんですが、東京拠点だと魚の絶対数が少ないし、釣り場も限られていたり何かと消化不良だったんです。この先の人生でもずっと釣りを続けたいと思った時に、このまま不本意な釣りを続けるか、恵まれた新天地で楽しむか……よし、北海道いくぞ!って。
釣りのどんなところに惹かれるんですか?
氏家:
釣れるか釣れないかはあくまで結果でしかなくて、きっとプロセスが好きなんです。誰かの教えや情報をなぞることはせず、自分で情報をひたすら集めて、頭の中で組み立て、現地で実践する、失敗すれば改善策を、成功すれば再現性を探ります。魚の種類、場所、季節。同じ釣りは二つとなく、確かな正解がないなか答えを自分なりに模索する手探り感が好きなんですよね。以前、たまたま川で出会った渓流釣りの達人から「この川にいる釣り人のなかで、君だけベストなアプローチをしていたよ」と言われたことがあって、よし!って。答え合わせができたようで、あれはうれしかったですね。
お仕事への姿勢と通じますね。ちなみに移住して失ったものはありましたか?
氏家:
物理的に友達と会えなかったり、好きな映画や音楽、カルチャーに触れる機会が減ったり数多くを失ったともいえるけど、実は失った感覚はなく、得た感触のほうがずっと強いです。週末や休みを利用して各地に釣りにいっていますし、部屋は広くなったし、通勤ストレスはなくなったし。移住は将来への投資。この先40年の釣り人生を先行して買った、みたいなイメージで、移住して本当に良かったと思っています。
前職と前々職の間にアメリカに長期間滞在していましたが、大胆な移動を軽やかに実行するのは以前から?
氏家:
1社目に在籍中だったある日、数年前に作った「やりたいことリスト」がいっこうに消化できていないと気づいたんです。「アメリカをロードトリップする」「アメリカで映画を見る」といった高難易度のものはともかく「写真を撮る」「旅行する」といったことすら実現できていなかった。それは仕事にかこつけて、やりたいことから逃避しているんじゃないかと。そうした想いがどんどん募っていって、どうせなら自分が好きなアメリカに行って全部やってやろうと、退職して渡米しました。「お金が尽きるまで」を期限に、手にしていたのは「アメリカでやりたいことのリスト」だけという無計画な渡航で(笑)。でも語学学校に通いながら、時間を見つけてアメリカ中をレンタカーで走り回り、好きな建築・美術館・音楽・映画・小説に触れたり、好きな写真家や映画監督の足跡をたどって彼らの思考を想像したり。そんな一年間を過ごして、とことんやりきった感がありました。
今も北海道の道や風景を見て、ふいにアメリカ時代を思い出すことはありますね。そんな風に、場所や空間が横軸、自分の記憶が縦軸となって自分のなかに何かが浮かぶ瞬間が好きで、僕は旅や移住をしてきたような気がします。
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(03)
(未来へのスタイル)
今の連続が、未来になる。未来を良くするには、今日を良くすること。
これからパーソルキャリアで実現したいことを教えてください。
氏家:
MIRAIZを軌道にのせて、価値ある体験を多くの人に伝えられるサービスにすることです。学びは誰にとっても大事なことだし、社内的にもMIRAIZの名がじわじわと広がりつつあるので、ここから大きくしていくのが自分の役目だと思っています。良い結果も悪い結果も受け止めながら進んで、一緒に苦労してきたメンバーとMIRAIZの成長の喜びをいつか分かち合いたいですね。
一人のデザイナーとして作っていきたい未来はありますか?
氏家:
デザイナーとしてはたらくことで、ほんの少しでも社会や誰かのためになれば、はたらいている意味があるとは思っているものの、僕自身は週末の予定もたてられない人間で、未来思考じゃないんですよ。自分に未来を変えられる力がもてるとも思えないし、何より、今が良くなくちゃ未来も良くなるわけがない。だからいつも「今、この瞬間が大事」だと思っています。ただ、環境や刷り込まれた価値観・先入観に縛られて変われない世の中は嫌だから、もっと自由に軽やかに、世界に選択肢を増やしたいんですよね。
いってしまえば移住も大したことじゃないし、会社をやめてアメリカに行くことも、そこですっからかんになって帰国時は30歳で貯金0円でもたいしたことじゃない(笑)。自由に自分の人生を組み立てたほうが、後から振り返った時にいいと思うんですよね。
氏家さんにとって、はたらく幸せってなんでしょう?
氏家:
「素敵な仲間と楽しくはたらく」が幸福なのは間違いないです。正直なところ、何をするかよりも誰とはたらくかが自分には大事。今も、どんな組織にいても一緒にはたらく仲間の力を向上させてしまうような尊敬する同僚がそばにいて、その人と一緒に仕事をするようになってからはたらく楽しさが何倍も大きくなりました。
では、これからパーソルキャリアでどんな人と一緒にはたらきたいですか?
氏家:
デザインのレンズで世界を捉えている人、なおかつ、事業開発者としてのレンズも重ねづけできる人、ですね。そもそもデザイナーとは、世界の捉え方を切り替えて見ることができる多様な“レンズ”を持っていることが欠かせないと思います。特に新規事業に携わるデザイナーは「枠を超える」ことが非常に重要です。自分の仕事はここまでと限定することなく、サービスオーナーやマーケティングメンバーなどの動向をキャッチアップし、いろいろなレンズを付け替えながらフレキシブルに取り組んでいける方だとうれしいですね。
それに加えて、人が活躍できるかは、環境や周囲の人間関係など「自分以外の要因」がかなり大きいと実感しています。僕もかつて、ある先輩が認めてくれたことをきっかけに、振る舞いと意識が変わり成果が出せるようになった経験がありました。認められる機会・環境に恵まれれば誰もが自信をもってプレイできるようになりますし、その環境を作るのは上司や先輩の責任。僕自身もメンバーや新しく入ってくるみなさんの成功体験に役立てるよう頑張りたいと思っています。
※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。
執筆:宗像 誠也(White Note Inc. )
撮影:吉田 周平
編集:重松 佑(Shhh inc. )
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(NUTIONで一緒にデザインしませんか?)
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