自分を開くほど、世界は広がる。デザイナーの枠を超え、次のワクワクをつくる。

ハイクラス転職サービスのdoda X（デューダエックス）でUI/UXデザイナー兼サブマネジャーを務めています。サブマネジャーはマネジャーを補佐するポジションでもあるので、デザインチームのデザインレビュー、案件のアサイン、メンバーの業務フォロー、サービス全体の品質管理などの業務を行っています。また、今は自分で手を動かしてデザインすることは多くないのですが、メンバーの工数が逼迫していそうな時には自分もUI改善などの施策を担当することもあります。

はい、一つは有志による「アクセシビリティ推進チーム」です。社会的にウェブアクセシビリティに対する必要性が高まっている中で、障害のある方にも利用しやすい転職サイトであるために、パーソルキャリアとしてもさらに力を入れていくべきという考え方から取り組みを進めています。以前からアクセシビリティに興味があるということを色々な人に伝えていった結果、それならリーダーをやってくれないかと抜擢された形です。基本的なアクセシビリティのナレッジ勉強会を開催したり、障害のある方にインタビューをしたりしています。
もう一つは、「UXリサーチプロジェクト」です。doda X内の重点取り組みテーマの一つで、企画部門のメンバーと協働しています。主な取り組みはペルソナに近い方々や実際のユーザーへのインタビューを通じて、定性的なデータの収集と分析を行っていたり、また、カスタマージャーニーマップの作成なども行っています。
そして、3つ目がdodaとdoda Xの「横断UXデザイングループ」です。これはUXデザインの領域を明確にして、デザイナーのスキルアップ・キャリア形成につなげること、そしてdodaブランド全体のユーザー体験向上を実現することを目的として新設された組織で、具体的な活動はこれからです。

そうですね。これはとてもうれしいことなんです。doda Xはディレクター、リサーチャーなどの企画領域の職種、エンジニア職、デザイナー職など多様な職種が集まる大きな組織で、僕が入社した頃もすでに職域の壁は溶けつつありました。ただ、関わり方によってはまだ少し改善の余地を感じる場面もあって。だから、デザイナーはビジュアルをつくる以外にも様々な分野に貢献できるということを知ってもらおうと、僕たちから意識して働きかけていきました。専門性を繰り返し伝えて、業務の中で身をもって実証し、組織の壁を少しずつ溶かしてきたんです。地道な努力を重ねた結果として、企画職との信頼関係がより深まり、デザイナーが関わる領域が企画の上流フェーズへと大きく広がりました。縦割りの壁がなくなり、だいぶ職域が溶け込んだ組織になってきたなと、ちょっと感動すら覚えています（笑）。

小さい頃から絵を描くのが好きで、漫画家やイラストレーターになりたかったんです。学生の頃はイラストの勉強をしていたのですが、就活をしていく中で絵を描いて食べていくこと、仕事に就くことは本当に難しいということを思い知りました。そこから路線を変更して、イラストと領域が近いデザイナーになろうと決めました。デザイナーという職業は、表現力や発想が大事なのはもちろんだけど、いかに問いを作れるかこそが大事だと考えていて、どんなことに対しても「これなんで？」と問いを立ててしまう自分の性格は向いていたんだなと、今は思っています。

パーソルキャリア入社前に3社で経験を積んできました。前職でも仕事にやりがいを感じていたけれど、結婚したことや30代に入ってライフステージが変わってきたこともあり、もっと仕事の幅を広げたい、もっと人生が豊かになるはたらき方をしたいと考え始めたんです。一つのプロダクトを同じ想いを持つ仲間と共に作っていきたいと事業会社を志望して転職活動を始めたところ、出会ったのがパーソルキャリアでした。大きな企業のなかにNUTIONというブランディングされたデザイン組織があるのも魅力だったし、そんな組織を作ろうと考えたデザイナーたちの思想がとても素敵だなと思いました。
面接でも他社はスキルや業務についての質問が中心だったのにパーソルキャリアでは、「いちばん嫌なことはなに？」など僕という人間を知ろうとする質問が多かったのも印象的でしたね。面接官が「ちなみに私は朝イチのミーティングが嫌です」と言い出したりして（笑）。僕からは面接官に対して「あなたにとってデザインとは？」とデザイン観を問う質問を投げかけていたんですが、パーソルキャリアの人たちはその回答も共感できるものが多く、一緒にはたらいたら楽しいだろうな、と。実は最後の最後まで迷った会社もあったのですが、最終的には人の魅力が決め手となって現在に至っています。

（笑）。たしかに、まずはやってみればいいじゃん！タイプなので、思いついたらすぐに行動を起こしてしまうほうですね。もちろん考えることも準備もしっかりするんですが、ある程度まで考えたら、後は小さくでも始めてしまったほうが見えてくることが多くあると思っていいます。

入社2ヶ月くらいの時にdoda Xのユーザー体験向上の施策を検討する職種横断チームに参加したんです。そのチームではそれまでにも様々な取り組みをしていたのですが、次に何をすべきかテーマを模索している状況だったんです。そんな時に、doda Xのカスタマージャーニーマップがないことにふと気づいて、その場で「作りませんか？」と提案してみたところ、みんな「いいね」となって。カスタマージャーニーマップを作ったことはなかったけれど、言い出しっぺだったこともあり、ワークショップのファシリテーター役も買って出ることにしました。定期的にメンバーを集めて、ユーザーの転職体験を見える化して、マップを仕上げたのですが、それが参加したメンバーから非常に喜ばれたんです。doda Xのユーザーに対する解像度が上がったし、話し合いなどのプロセスを通してメンバー間の思考を知ることもできた！って。それにワークショップは基本対面で行ったこともあって、チームの一体感も生まれました。

割と自分からボールを「投げる」し、「拾う」タイプなんです（笑）。やって失敗したらまた考えればいいじゃんと、自分的にはごく当たり前のことなんですけどね。入社から日が浅かったこともあり、自分から提案して受け入れてもらえたのは、とてもいい成功体験になりました。この会社の人たちは社歴にかかわらず意見を受け入れてくれるとわかったし、企画職の人たちとも互いを知ることができて一気に距離が縮まりました。この出来事がきっかけとなって、その後も別部署・別職種の人にも積極的に声をかけたり、かけられたりするようになって、そこから生まれたチャンスもたくさんありましたね。

ずばり「自己開示」です。仕事の話はもちろん、趣味や日常のことも雑談しながらどんどんさらけ出します。あまり自分を出さないミステリアスな人も魅力的ですが、僕はオープンにすることで、自分がどんな人で何ができるかを知ってもらい、必要な時に思い出してもらえたらいいと思っています。こちらから心を開くと、相手も自然とオープンになってくれる。そうすると、親しくもなれますしね。結局のところ、仕事は人と人との関係で成り立つもの。たくさんの人とつながり、深い関係を築けるほうがいい。だからこそ、「まず自分から」という姿勢を大事にしていますね。
実は以前、“友達100人プロジェクト”というものを実施したんですよ。NUTIONには100人以上のデザイナーがいますが、どうしても関わるメンバーが限られてしまう。こんなにたくさん仲間がいるのに、話さないのはもったいないなと思ったんです。そこで思い切って、全員に向けて「もしよければ僕と1on1してください」と声をかけてみました。その結果、約10分の1の人が手を挙げてくれて、実際に1on1をさせてもらいました。とても楽しかったし、新しい関係が生まれるきっかけにもなりましたね。

自分が携わったものが誰かの人生を変えるかもしれないし、まだこの世にないものを生み出せるかもしれない。そんな可能性が魅力ですし、生み出す苦しさや、より良い答えにたどり着けない悔しささえもデザイナーの醍醐味だと思っています。極論を言ってしまえば、僕はデザイナーという肩書きにもこだわりを持っていなくて、良いものを作って世に送り出したいだけなんですよね。だから、職域を超えた仕事ができるようになった今が心から嬉しくて。実は、これまでずっとデザイン関連の複業をやっていたんですけど、先日全て辞めたんです。パーソルキャリアは複業OKだし、続けたほうが収入面だっていい。でも、本業の仕事が充実しているから、そこに全エネルギーを集中したくなったんです。グループビジョンの「はたらいて、笑おう。」ってとても良い言葉だと思っているんですが、今の僕はまさにそう。日々はたらいているなかで、めちゃくちゃ笑えています。笑ってしかいないかもしれないですね（笑）。

基本的にワークよりライフ重視です。というか、プライベートを充実させるために仕事を頑張っている感覚がありますね。もちろん仕事も大好き。だから、ワークもライフもとことん楽しむためにオン・オフの境界線はかなり意識しています。今は在宅ワークですが、どんなに仕事が忙しい時でも20時には切り上げる。そして夕食を作る、猫と遊ぶといった生活のルーティンを絶対に崩さないと決めて仕事をしています。妻は出勤しているので平日の夕食は自分の担当。チャーハン、親子丼、生姜焼き、肉じゃが、ガパオライス……なんでも作りますし、家を新築してキッチンもお気に入りだから作る意欲も自然と湧いてきちゃうんです（笑）。

暮らしていてワクワクするかどうかですかね。リモートワーク中心なので家がテンション上がる空間になってないと。はたらいていてもワクワクできて、帰ってきたくなる場所であることを大事に家づくりに取り組みました。この家に住み始めてからもともとのインテリア好きがさらに高じて休日は妻とインテリアショップに出かけたり、家族で過ごす時間がかなり増えましたね。一番のお気に入りはキッチンのペンダントライト。見つけた時に一目惚れしました。デザイン性がしっかりあるのに、空間に馴染んでくれて、とてもバランスがいいんですよね。

時代は進むし、常に自分もアップデートし続けたいから、インプットの時間はとるようにしています。考え方やスタイルに共感するUI/UXデザイナーやプロダクトマネジャーのSNS等を見て、興味深いトピックに触れることが多いです。最近ではAI時代のデザイナーに必要なのは「課題解決力」「推進力」「学び続けるスタンス」という話が自分のもともとの考えと近くて心に残っていますね。そういう姿勢がある人はどんな時代、どんな職業でも柔軟に生きていけるはず。自分もそうありたいと改めて思いました。

UIデザインに始まりUXデザイン、リサーチ・分析など、確実に挑戦の範囲が広がってきているので、今後はサービス全体、そして組織。視座を変えて、そういう形のないデザインもしていきたいですね。つながる人が増えるたび、領域が広がるたび、スキルや視点も広がり自分自身の成長を実感するので。これから先のことを考えると、まだまだ未知の領域が目の前に広がっていることにワクワクします。

自分や周囲の人たちの人生を豊かに、便利にすること。たとえば行政手続きをはじめ世の中にはまだまだ不便がたくさんあります。それらを少しずつデザインしていきたい。あとは事業会社でデザイナーが役員ポジションになる会社も増やしていきたいですね。デザイン人材がフェロー的なポジションについてデザイン思考を発揮して、課題の発見と解決を繰り返していけば、着実に世の中も良い方向へと変わっていける。だいぶ遠い目標ですけど、いつか必ず実現したいです。
先ほども言いましたけど、別にデザイナーの枠にとらわれる必要もないしまったく別の仕事をしている未来だってあり得ます。AIの進化で仕事が奪われると不安に思う人もいるかもしれないけれど、AIを取り込んで一緒に仕事をしたらどんな面白いことができるだろう？　そう考えて何かワクワクすることをしていきたいと思っています。デザインの意味や役割が広がり続ける時代と一緒に、自分も広がっていければいいなと。可能性は無限ですからね。

※ 所属・肩書および仕事内容は、取材当時のものです。

執筆：宗像 誠也（White Note Inc. ）
撮影：吉田 周平
編集：重松 佑（Shhh inc. ）